LKL (LENKKOPFLAGER)

R26−27、R50−69S

ステアリングヘッドは車体関係では一番重要な箇所です。

スイングアームのないモデル(リジット、プランジャーサスなど)は有り得ても

ステアリングヘッドのないモデルはオートバイとして存在しません。

1969年に発売された5シリーズに規格型テーパーローラベアリングが採用されるまで

長らくこの部位には国産車と同じ鉄球を使ったスラストボールベアリングが使われていました。

鉄球を使うため点で接触するため摺動抵抗が少なくベアリングとしては大変優れたモノであります。

しかし200kgの車体を上下一対のベアリングで支持するには無理があるためか性能維持するには

定期的な交換やメンテナンスが必要でした。 また立ちゴケ程度の軽い転倒でもベアリングレースに

傷が入り操作が不円滑になってしまいます。

旧タイプのスラストボールベアリングは規格サイズではないため特注扱いでベアリングメーカーも

数量がまとまらないと生産しなくなったため入手困難になっています。 このような背景のためか近年、テーパーローラベアリングがリリースされ市場に出回っています。 このタイプのベアリングは線で接触するため

摺動抵抗が増えますがボクサーエンジンにとってはハンドリングに落ち着きが出るメリットもあります。

本来、耐久性は従来型の3〜5倍と言われていましたが旧タイプ用は特注サイズで寸法や熱処理などが

独自設定で市販の規格品よりは耐久性に劣るようです。 

Fig.1 テーパーローラベアリング
   
    Fig.2 プロテクションキャップ

問題点

メリットが多いテーパーローラベアリングですが不都合の出る場合もあります。

本来、スラストボールベアリングを想定して設計されたフレームのため個体によってテーパーローラ

ベアリングとの相性の悪い場合があります。

Fig.3 干渉接触跡

交換時には問題にならなかったがベアリングが馴染むに従いローラーケージがフレームに干渉して

不円滑になったケース(Fig.3)

ベアリングメーカーも不具合に気付いたようで干渉しないようなケージを採用しています。(Fig.1右側)

またテーパーローラベアリングとは無関係ですがハンドルポスト位置の変更や増し締めでスパナでプロテクションキャップを変形させるとフレームと部分的に干渉するため反動操作は不円滑になります。(Fig.2)

ステアリング操作に引っ掛かりがある場合はチェックしてみましょう。またフリクションダンパー部で干渉している場合もあります。(R26・27などシングルモデルに多い)