シングル用キャブの構造的問題と対策
R25からR27までのBINGキャブレターは燃料タンク/燃料コックとキャブレターの
兼ね合いもあってか燃料の供給がキャブレター・フロートチャンバー下部からになっています。
つまりフロートバルブが一般的なフロート上部になく、フロート下部に位置しています。
新品のうちは具合が良いのですがレイアウトの関係でバルブの磨耗が比較的早く、
アイドル困難になったり、アイドリングとはいえないほど回転が上がったりします。
原因と症状連鎖
1 フロートバルブの当たり不良によりオーバーフロー状態になる。
2 混合気が濃くなるのでアイドリングは落ち込み、ストールする。
3 エンストを防ぐためアジャストスクリューによりアイドルアップさせる。
4 気まぐれで適正なフロートレベルに戻ると正規な混合比になるのでアイドル回転が上昇する。
5 ある一定以上に回転上昇すると遠心ガバナーの働きによって点火時期が早くなる。
6 点火時期が早くなることでアイドリングがより上昇する結果となる。
7 またまたオーバーフロー状態になると回転が落ち込む。
信号待ちなどの停車中に上記症状が繰り返される。
対策・対応
1 キャブレターを交換する。 当面は改善する。
2 キャブレターを改造してフロートチャンバー上部より燃料が入るようにする。ツイン用をモデファイ
3 R50/5などのフロートチャンバー上部より燃料が入るタイプのキャブレターに交換する。
4 点火系をチェックして進角状態を最適化する。
5 エンジン振動がアイドル不安定の症状を悪化させるのでエンジンマウントブロックが傷んでいれば
交換してエンジン振動を制御する。
補足と注意点
信号待ちなどの停車状態が多いとオーバーフローにより点火プラグがくすぶる傾向になります。
しかし走行中は適正な燃焼状態に戻っています。プラグの焼け具合のみに注意を払っていると
プラグの熱価選定を誤ることになります。間違ってもB4HS(NGK)などの焼け型のプラグは
装着してはいけません。時速100`以上の巡航走行になった場合はピストン穴開きや焼きつきになります。
現在のところ当時と同じ型のR26−27用のキャブレターは生産されていませんので
購入するのであればデッドストック品か中古を探すしかありません。
新型モデル用の対策キャブレターもティクラ付き、ティクラ/スターター付き、スターター付きの
仕様があるので購入の際にはご留意ください。
スターター付き仕様の場合はハンドルなどにスターター(チョーク)レバーを装着する必要があります。